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愛娘を亡くしたビジェガス。「感謝してもしきれない」と小児病院に寄付

昨年7月、愛娘ミアちゃんを亡くしたカミロ・ビジェガスがニクラス小児病院に看護師やスタッフが休憩できる特別なリラクゼーションスペース(部屋)を寄付した。

マイアミにあるニクラス小児病院の6017号室。ミアちゃんが22カ月の短い生涯を閉じる前の3カ月を過ごした部屋だ。ちょうど1年前のホンダクラシック(20年)開催中に体調を崩したミアちゃんだが、当初は風邪か乳歯が生えるときの乳児特有の症状かと思われていた。

ところが日に日に体調が悪化。夫妻は親交のあるジャック・ニクラスの息子ゲーリー氏に連絡。するとすぐに入院するようにとの指示があり、ニクラス小児病院へ。検査の結果、脳の腫瘍が脊椎に転移していることが発覚した。ゴルフボール大の腫瘍は手術で取り除いたものの、2週間後には除去したサイズにまで大きくなっていた。

計5回の手術に耐えたミアちゃんだったが7月26日、還らぬ人となった。想像を絶する悲しみに夫妻は3日間泣き通したという。それでも2人は前を向き、同じ境遇の子どもと家族を助けたいと基金を設立。そしてニクラス設計のPGAナショナルで開催されたホンダクラシックで、小児病院のリラクゼーションルームを寄付したことを発表した。

「ジャックとバーバラ夫人、そして病院関係者には感謝をしてもしきれません。激務のなかミアが少しでも心地よく過ごせるようサポートしてくれた看護師やスタッフの方々が、つかの間でもホッと息抜きができるスペースを用意しました」とビジェガス。

悲しみを乗り越えツアーで戦うビジェガスだが、肩の故障による公傷制度の適用はホンダクラシックで終了。3位以内ならシード復帰だったが、8位タイに終わり今後は下部ツアーが主戦場になる。

「ゴルフは浮き沈みがあるけれどクラブを振れるだけでうれしいし楽しい。辛抱強く、さまざまなことを乗り越えていきたい」というビジェガスを応援せずにはいられない。

グリーン上での「スパイダーマンポーズ」が話題になったビジェガスも39歳。苦難を乗り越え再び第一線で活躍する姿を見たい(写真は2014年ウェルズ・ファーゴ選手権。PHOTO/Tadashi Anezaki)

週刊ゴルフダイジェスト2021年4月13日号より