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日本一曲がらない男は稲森佑貴。では“世界一曲がらない男”は? FWキープ84.5%!

ブライソン・デシャンボーの飛びに関する話題が毎週のようにメディアを賑わしている。先日は日本一曲がらない男・稲森佑貴との対決が話題になったが、では“世界一曲がらない男”とは誰?

その答えはカルビン・ピート。タイガー・ウッズがゴルフシーンに登場する以前、もっとも成功したアフリカ系アメリカ人プレーヤーである。83年には史上最高のフェアウェイキープ率、驚異の84.5%をマーク。2位の選手を9%引き離し、ツアーの平均より22%高い数値を叩き出している。

データが残っているのは80年から90年までだが、ピートは80年(2位)を除いてすべてフェアウェイキープ率1位。80年(78.7%)と84年(77.5%)を除いて9シーズン80%超えというからあっぱれだ。

ちなみに稲森の昨年のスタッツが78.01 %。日本一曲がらない男でも、年間を通じて80%超えというのは至難の技なのだ。

2015年に亡くなったピートはツアー12勝を挙げ、85年には第5のメジャー、プレーヤーズ選手権にも勝ってライダーカップのメンバーに2度選ばれている。驚くべきことにクラブを握ったのは20歳を過ぎてから。プロ入りも32歳と遅いが、精密機械のようなショット力で一世を風靡した。

正確無比なショットで通算12勝を挙げたピート。2015年に71歳でこの世を去った


ショット精度の秘密は「バランスと、最良のボールポジションがカギ」と本人。「バランスに欠かせないのが基礎。スタンスやポスチャー(姿勢)など、『どう打つか』より『どう構えるか』が、バランス、ひいては方向性を司る」という。

ボール位置は「スウィングアークの最下点で常にボールをとらえられるようなポジションにセットすることが大切。アイアンでは球の位置は動かすが、ドライバーは常に一定の位置に置く必要がある」

基本中の基本のように思えるが、“世界一曲がらない男”の金言。肝に銘じておきたい。

カルビン・ピートの1Wスウィング

貧困の家庭で育ったピートは、幼少時に左腕を骨折した際、ギプスもはめずに治したため、左腕は曲がったまま。しかしそれが、ピートの正確無比なショットにつながった。左ひじを曲げるスウィングは、日本の元祖曲がらない男・杉原輝雄をはじめ、今平周吾、ジョーダン・スピースなどのショットメーカーに通じる動きだ

週刊ゴルフダイジェスト2021年3月30日号より