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【私の「とんぼ」愛】大畑大介<前編>「俺にとってのイガイガは、ラグビースクールに送り出してくれた親父だったんです」

4月からのテレビアニメ放送を前に「オーイ! とんぼ」好きを自認する著名人の皆さんに“とんぼ愛”を語ってもらうリレー連載。今回の語り手は、ラグビー元日本代表の大畑大介氏。「早く始まれ」と、ワクワクして待っている熱い男が、自身の人生に重ねながら、その魅力を語ってくれた。

自分の精神状態によって
“ハマる人”が違うんです

――「オーイ! とんぼ」は「週刊ゴルフダイジェスト」で読んでくださっていたんですよね。

そうそう。その後、単行本も読んで。これだけしっかり漫画を読んだのは『北斗の拳』以来かも(笑)。

――自分に近いと思うキャラクターはいましたか?

そりゃ、とんぼでしょ。競技は違うけど、俺もクラブ3本でゴルフをするタイプです(笑)。

――とんぼは3鉄1本でプレーしていました。大畑さんの現役時代もプレースタイルは自由奔放というか……。

「曲がるんだったら、もっと曲げたれ」みたいなプレーです。スキルをチャート表にしたら明らかにいびつな形になる選手でした。走力が飛び出ていて、ディフェンス力が低い。ボールを持って走るだけしか能がないような選手だったんです。さすがに徐々にいびつさは解消されていきましたが。

――出る杭だったでしょうねえ。

だいぶ出ていたかも(笑)。

――でも、出すぎた杭は打たれませんからねえ。ちなみに、とんぼ以外に気になるキャラクターを挙げるとしたら?

多いからなあ。例えば、島に残った(肥後)亘くんが今どうしているか気になる。だって、とんぼねーちゃんにあんなにストレートな告白したんですよ。

――「結婚したいぐらい好き」だと言いましたからねえ。

あれ以来、ほとんど登場してないけど、あんなこと言ったんだから島で頑張ってて、そのうち島からやって来るんちゃう?

――すごいイケメンに成長したりして(笑)。

島を去るとんぼに小学生の肥後亘がストレートな告白。「言霊っていうくらい言葉は大事やから……」(大畑)。今後に期待!

亘だけじゃなく、ともかくキャラクターたちの人間模様がいいのよ。「トカラ編」「九州女子アマ編」「日本女子アマ編」「トヨタジュニア編」……と、どんどん魅力的なキャラクターが出て来るでしょ。

――誰かに感情移入したりしますか? やっぱりとんぼ?

それが、いつも「この人」っていうんじゃなく、自分の精神状態によって“ハマる人”が違うんですよ。僕はアスリートとしてずっとやってきて、精神的に参っているとき、ケガをしているときなど、いろんな状況の経験があります。その経験にハマる人がいるんですよ。「俺もこんなときがあったわー」みたいな。例えば、俺は両方のアキレス腱を切った経験がありますが、それこそワニに噛まれた(栗須)エマみたいな。将来はコース設計家になりたいと言っていた子(築山嬉々)もいたけど、自分も現役を引退してセカンドキャリアを考えている頃のことを思い出したり。年齢的には、とんぼたちは娘世代だから、自然と親目線になることもある。だからイガイガの気持ちがわかったり。

――とんぼだけじゃない、サブキャラクターがみんなイキイキしていますよね。

それぞれのサイドストーリーがいいのよ。それだけでお話になるんじゃないかという。

――スピンオフ! やれそうですね。このキャラのスピンオフが見たいというのはありますか?

そりゃあ、亘くんでしょ。

――好きですねえ、亘くん。

でも、とんぼは、料理人志望のあの子(瀬名一馬)と、ちょっといい感じになったりもしたでしょ。そのあたりは、親目線で気になります(笑)。

――ふふふ。イガイガ目線ですね。

でも、基本、俺はとんぼやから。

――大畑さんがラグビーを始めたのは小学生のとき?

小3でラグビースクールに入りました。

――小さいころから足が速く、学校でも人気者だったでしょう?

それが、俺、小学校の頃、友達いなかったんですよ。

――えー、クラスで一番の人気者だったのでは?

それは後々の話(笑)。俺は大阪の生まれ育ちですけど、野球少年ではなくてタイガースファンでもない。そんな子に居場所はなかったんですよ、当時は。みんなと一緒のことがどうしてもできなくて……。でも、みんなに自分のことを知ってほしい、興味を持ってほしいというのはあったんです。

――それでラグビーを?

親父が学生時代ラグビーをしていたこともあり、野球以外の身近なスポーツといえばラグビー。それで、親父が知り合いに頼んでラグビースクールを探してくれたんです。実家から電車とバスで1時間ぐらいかかるんで、大冒険ですよ。ほんと、とんぼが島から出るような、それくらいの感覚でした。最初は「こんにちは」もうまく言えなくて……。でも、最初の練習でグラウンドの端から端まで走るっていうのがあって。そしたら自分が一番速かった。そこからみんなが話しかけてくれるようになって。やっとできたんですよ、自分の居場所が。だから、まさに、とんぼの「島編」みたいな感じやったんですよ。外の世界を見てみたい、でも勇気がない、みたいな。だから、さっきは「イガイガ目線になる」って言ってたけど、島編を読んでいるときは完全にとんぼ目線。

――とんぼも最初は島から出たくないと言っていましたが、島を出たことによって世界が大きく広がりました。

俺もまったく同じ。競技がゴルフかラグビーかっていう違い。あと、外に連れ出してくれたのがイガイガか親父か、っていう。俺にとってのイガイガは、ラグビースクールに送り出してくれた親父だったんです。

――なんていい話。次週に続きます……。

>>後編へつづく

大畑大介

1975年11月11日生まれ。ラグビー元日本代表。連載「待ってろ、ウエハラ」で小誌読者にはすっかりおなじみに

週刊ゴルフダイジェスト2024年4月2日号より

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