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【大人ゴルフの歩き方】Vol.29 ゴルフ印象派宣言

KEYWORD 木村和久

スコアだけがゴルフじゃない! コラムニスト・木村和久が独自の視点から現代の正しいゴルフの在り方を指南。

ILLUST/Shinichi Hoshi

前回のお話はこちら


第29講 ゴルフ印象派宣言

①ゴルフは記録より記憶です
②スコアをつける前にスマホで写真を


ゴルフの思い出とはいったいなんだ?

皆さん、過去30年間のゴルフ人生を振り返り、思い出すことは何でしょうか? もちろん距離の短い、しかもパー71のコースでベストスコア79の達成は、ゴルフ人生最大の思い出ですがね。

あとはまぐれのホールインワンや、ハンデ25で優勝したBクラス月例杯ぐらいでしょうか。スコアにまつわるエピソードは案外少ないのです。

では過去のゴルフで印象深いシーンはいったい何か? 100人参加の大コンペで優勝して、液晶テレビを貰ったとかね。でもそれって、新ペリアだから実力は関係ないでしょ。スコアよりテレビを貰ったことが嬉しいわけですね。ほか北海道でゴルフをして雄大なゴルフを堪能したとかね。その時キタキツネを発見して、写真を撮りまくったのが一番の思い出で、スコアはさほど覚えてないでしょう。

このようにスコアにこだわるより、心に残ることを大事にするのを印象派ゴルフといいます。印象派はコースを愛で、打ち上げでお酒を飲んだこと、寄り道した観光地などが記憶に残ります。まあ絶対忘れない思い出は、プレー中に便意をもよおし漏れそうになったことですかね。


●ベストスコア79

ベストスコアって数字は覚えているけど、どのコースでどんな感じで達成したか、忘れていること多いですよね

ホールインワン

ホールインワン未達成者のひがみとしては、まぐれで入ることがそんなに嬉しいかなあ。セルフプレー全盛、ホールインワン保険未加入者が多い今、めでたいことだけど、達成したら大きなイベントにはしたくない感じです

キタキツ

時々マジで現れる。こうなるとゴルフどころではないです。写真撮りまくり大会が発生する

漏れそう

案外、こういう思い出だけは鮮明に残ってるんだよね

印象派のラウンドを実践してみよう。

すでに還暦を過ぎ、腕前の全盛期を終えた皆さん、スコア至上主義はひとまず置いといて、印象派ゴルフを楽しんではいかがでしょうか。どんな楽しみ方があるのか、列挙しましょう。

●コース設計を楽しむ
ピート・ダイに代表されるアイランドグリーンなど、外国人設計家のコースはビジュアルが綺麗、写真映えしますね。

●風情を楽しむ
日本の四季をゴルフ場で感じるなら、日本人設計家のコースが良いでしょう。満開の桜、新緑、青空と入道雲、そして紅葉。雪はクローズなので、プレーをやめて雪景色を撮りますか。都会生活の皆さんは、ゴルフ場で四季の移ろいを感じるんですよね。

●ラウンドは感じるままに
距離計測器など文明の利器はなるべく使わないようにしましょう。使うとミスした時の言い訳ができません。印象派ラウンドは見て感じたままに打つのがよろしい。昔はヤーデージ杭だけで距離判断をしたのです。長年かけて培った距離感は財産です、使いましょう。「今日はより遠くに感じるな~」そう迷ったら自分の感性を優先させる。これぞ印象派ゴルフの腕の見せ所でしょう。

●アプローチ&パターは悩まず、すぐに
通常、歩測してあれこれ考えますが、印象派の場合は構えたら即座に打ちます。でもこれがたまにぴったし寄ることがあるんですよ。いかに見た目が大事かなと。

●同伴競技者の印象
丸一日、ゴルフ場でラウンドすれば、同伴競技者の性格もわかるってこと。勝手に6インチルールをやってるとか、ボールが急に見つかるとか、ニギってもないのに叩いて怒ってるとかね。ナイスショットをしたのに「今のは薄かった」と首をひねる、お前はM山選手か~。

どうです、印象派ゴルフは素敵でしょう。あとは二次会でコースの写真を見ながら、お酒を飲むのは、いと楽しき哉ですね。

アイランドグリーン

300度ぐらい池に囲まれていると、グリーンが池に浮かぶ島に見え、凄く綺麗。記念写真をつい撮ってしまいますね

満開の桜

こういう時は日本に生まれて良かった、ゴルフやっていて良かったと思いますよね

言い訳

距離計測器を使うと距離を読み間違えた時に、言い訳ができなくなる。それにメガネ野郎だから、使うとレンズが汚れがち。あとクラブを多めに持つので、距離計持つのが面倒臭いって感じですかね

即座

短いクラブほどフルショットは難しい。早く振ってしまうから。あえてそれをやるかね

首をひねる

ナイスショットしたのに、薄かったとか引っかけた、とかいうやついるよね。どんだけお前の理想は高いんじゃ~


今月のまとめ

記録は改竄できないが、
記憶は自分の都合で
幾らでも上書きできる。
印象派ゴルフは脳内変換ありまくり
楽しい思い出を残しましょう!


教える人/木村和久

ゴルフ歴32年のコラムニスト。ベストスコア75、2001年鶴舞CCキャプテン杯優勝。『89ビジョン』など新しいゴルフの楽しみ方を様々提案する自称「ゴルフ生活評論家」

月刊ゴルフダイジェスト2023年8月号より