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【フック&シャット③】大型ヘッドのスタンダード、フックグリップの穴井詩プロは「左に振り抜く」だけを考える

女子ツアー屈指の飛ばし屋の穴井詩選手。飛ばしを追求し、さらに正確性を高めようとした結果、「フック&シャット」になったと言う。

【解説/穴井 詩プロ】
あないらら。1987年生まれ愛知県出身。NEC軽井沢で2年振りの優勝。翌週のCATレディスでは2位と好調キープ。女子プロ離れした飛距離が最大の武器

フックグリップは左へのミスが怖い。体を止めずに左へ振る

穴井 私にとって、フックグリップ最大のメリットは、ボールを横から叩けることで、しっかり力を使うことができます。ただ、フックグリップに握っているリスクとしてインパクトからフォローで少しでも体が止まると左へのミスになってしまうということ。

穴井 そこで私はシャット気味に上げるだけでなく、さらに外側にヘッドを上げるようにしています。要するにカット打ちですね。実際はカットには入っていないと思いますが、自分のイメージではカットに振るくらいでちょうどいいんです。

自らのスウィングを特殊だと謙遜するが、効率よく力を伝え、かつミスを軽減するには理にかなっている。思い切って振り切れるのは、カットに振ることで左へのミスを消しているからだ。

ポイント①左腰目がけてグリップを落とす

穴井 クラブはあくまでも上から下に動かします。重力を利用することでボールには最大にエネルギーが伝わります。トップからは、グリップエンドを左腰めがけて下ろすイメージを持つと、左へ振りやすくなります。

ポイント②カット軌道のイメージでいい

カットに振るイメージを持っていても実際はヘッドはインサイドかほぼストレートで下りてくる。極端なイメージを持つことで、動きを相殺している。いろいろ試した結果、カットイメージにたどり着いた。

注意! 調子が悪くなるとフックが強くなります

穴井 調子が悪くなると左手のグリップがどんどんかぶってしまいます。ボールをしっかりつかまえたいという意識が強くなるとその傾向が高まるため、練習ではあえてスクェアグリップに握って練習しています。

調子が悪いとフックが強くなる

右腰を押し込むと回りやすい

穴井プロのスウィングはいたってシンプルだ。インパクトをできるだけ強くしたい。そのためにどうのように動けばいいのかを追求し続けた結果、優勝をたぐり寄せた。

穴井 体が止まると左へのミスになる。だから止まらないように右足を積極的に使って右腰を押し込むようにしています。振り遅れると右へのミスになるし、体が止まると左へのミスになる。タイミングが重要ですが、私の場合は右足を使うようになってインパクトのタイミングが合い始めました。

右腰を前に出すことでヘッドが下から入る動きを防いでいる。ただ、前傾が崩れて上体が起き上がってしまうとヘッドが垂れて下から入る原因になる。だからこそ右足を蹴るように使って、腰を高速回転させている

穴井のボールはとにかく打ち出しが速い。男子顔負けのボールスピードが出せるのは、フックグリップにして真横からヒットできているからだ。

ドライビングディスタンス1位 穴井詩のドライバーショット

今の女子プロも、フックグリップが主流

ツアーで調査するとほとんどの女子プロがフックグリップ。大型ヘッドでゴルフを始めた彼女たちにとって、フックグリップがもはやスタンダードなグリップなのかもしれない。

福田真未

「少し左手をかぶせて握っています。フェースがスクェアに戻りやすく、当たり負けがないので、力がもっとも伝わるグリップだと思います」

蛭田みな美

「ゴルフを始めたときからこの握り方です。手のことは考えずに体の動きを主体で振っていけます。ナチュラルにボールがつかまってくれる感じです」

柏原明日架

「グリップはかなり厳しく教えられました。左手を少しかぶせて、そこに右手を添えます」

田中瑞希

「手が小さいのでしっかり握るためにフックで握っています。ゴルフを始めた頃からこのグリップで、握り方を変えたことはありません」

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