全米プロで距離計の使用がOKに。目的は「スロープレー解消」
全米プロゴルフ協会(PGA)主催の3つのメジャーで距離計測器=レンジファインダーの使用が許可される。
レンジファインダーの使用は練習ラウンドで許されているが、試合中はNG。それをなぜPGAが容認することになったのか? それは長年問題になっているスロープレー改善の見込みがあるから。
「プレーのスピードアップは常にわれわれの課題です」というのはPGAのジム・リチャーソン会長。距離測定器の使用はすでにゴルフでは一般的で、ルール(規約4.3a)でもプレーヤー及びキャディが機器を使用することが許可されている。それを率先してメジャー大会で推進することでスピードアップを促す狙いだ。
レンジファインダーが使用可能になるのは全米プロゴルフ選手権とKPMG全米女子プロ選手権、全米プロシニア選手権の3試合。5月の全米プロの連覇がかかるコリン・モリカワはこの試みについて「学生時代はレンジファインダーを使ってプレーしていた。でもそれで問題(スロープレー)が解決するかどうかはわからない。ただやってみなければわからないのも事実。メジャーで試すのは面白いし、初の試みに参加できるのはカッコいいじゃないですか」。
若手のウィル・ザラトリスは「うまくいけばスピードアップにつながると思うしそれを望んでいます」。ベテランのフレッド・ファンクも「ペースアップのための1つのツール」と歓迎する一方で、女子のブリタニー・リンシコムは「キャディにはルーティンがあるので、歩測してからレーザーで計測することになる。かえって時間がかかるのでは」と懸念する声も。
実際17年に米下部ツアーで、測定器の使用でプレーが短縮されたかをテストしたが、結果にバラつきがあり現在ツアーでは使用禁止。
欧・米ツアー両方で活躍するパドレイグ・ハリントンは「(母国の)実験ではかえって競技時間が延びた」と証言。果たして新しい試みは吉とでるか凶とでるか?
週刊ゴルフダイジェスト2021年3月9日号より