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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.764「ゴルフクラブにも“サブスク” があれば、いろいろなギアが試せると思いませんか?」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

前回のお話はこちら


今年のマスターズではミケルソンが2位に食い込み、翌週の関西オープンでは前PGA会長で67歳の倉本昌弘選手が見事、予選通過を果たしました。息の長い選手って、どこが違って何が優れているのでしょうか。(匿名希望・49歳・HC1)


52歳のミケルソン選手もさることながら、今年で68歳になる倉本選手には頭が下がりますね。

今回、倉本選手が予選通過を果たした関西オープンで優勝したのは、昨年アマチュアで日本オープンなどツアー2勝を挙げた22歳の蟬川泰果選手。

この年齢差は驚きですよね。

他の選手と何が違い、優れているのか正確な答えは見つかりませんが、日ごろの節制やコンディショニング、ボディメンテナンスへの配慮を欠かさないのはプロアスリートとして当たり前のことですから、倉本選手だけが特別ではないと思います。

ただ、倉本選手はアマチュアとして頭角を現し始めた高校時代からアスレチックジムに通うなど、ゴルフ界に筋トレを導入した先駆者でもあります。

小柄な体格を補うため、科学的トレーニングをはじめ栄養学、カロリー計算などアメリカのスポーツ界で注目されていたトレンドに早くから注目して取り入れてきたことが知られています。

また、40代半ばには心臓弁膜症の手術を受けています。

こうした病気の経験は、その後の生活に大きな変化をもたらしたことが想像され、そのことが現役のプレーヤーとしての息の長さに影響を与えているのかもしれません。


ですが、身体のケアやメンテナンスが重要だといくら言っても、若いときから特に気にするのは少数派。

でも暴飲暴食を続けていれば、必ずあとでバチが当たります。

長いキャリアを全うしたいのなら、食事や栄養補給、規則正しい生活リズムを大事にすることに目覚める必要があるでしょう。

一方ゴルフの場合、パフォーマンスの低下はショットよりもまずパッティングに表れる、と言われています。

その大きな原因は“目”。

正常な視力でプレーしていたときは、パッティングラインがはっきりと見えたので、ヘッドの動きに迷いがなくスーッと動かすことができました。

ところが、目が悪くなったことでくっきりとラインが見えないため、それに伴いストロークも不安定になりがちです。

もちろん、目だけではなくヘッドを動かす手や腕の筋肉も一様に衰えているため、そういう現象を来しているのだと思います。

ショットよりもパットに衰えが表れる。

それは、大きな筋肉の動きで行うショットよりも、細かい筋肉を使った微妙で繊細なタッチが要求されるパッティングでミスの幅が際立ってしまうからです。

年齢が進めば身体の衰えも進みますが、時間とともに変化していく自分の身体とパフォーマンスをしっかりと自覚して受け入れることが大切だと思います。

「昔はもっと飛ばしたのに」と悔やんでも始まりません。

この頭の切り替えが一番大切でしょうね。

それと、身体の変化に合ったギア選びも忘れてほしくありません。

体力や動きの速さが変わっているのであれば、それに伴い道具も合わせるべきですよね。

現在ではアマチュアでも自分に最適なクラブを選んで購入することができるクラブフィッティングが普及しています。

ただ、定期的に買い替えるとなると、少なくないお金がかかるのは困りもの。

そこで、わたしは思うのですが、車にカーシェアリングがあるなら、クラブにサブスクリプションがあってもいいのでは?

高額なドライバーを購入するのではなく、その利用権を使用期間に応じて定額料金で支払うシステム、俗にいう「サブスク」です。

たとえば、年会費を払えば、必要に応じてクラブを新しいものと取り替えられる。

そんなサービスがあれば、わたしなら飛びついちゃいますけどね。

どこかで始めてくれないかなぁ~(笑)。

いずれにせよ、ベテランが力を発揮するのもプロの世界の見せ場のひとつ。

これからも期待したいものです。

「年齢に抗わず、適正なギア選びはゴルフを
もっと楽しくさせてくれますよ!」(PHOTO by AYAKO OKAMOTO)

週刊ゴルフダイジェスト2023年5月9・16日合併号より

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