【右脳ゴルフ②】桑原克典プロが気づいた技術の原点。自分の前からクラブを外さず振るだけ
本来の自分が持っている感性を活かし、気持ちよく振るのが最優先であるべきと桑原克典プロは言う。例えば、ピンまで80ヤードをどう狙っていくのか、アプローチやパッティングでは何が大切なのか、聞いていった。
打ちたいショットを明確に強くイメージする
桑原 ピン位置や風の向き、強さなど、状況を判断して、これなら寄りそうだなと感じる球筋、弾道をイメージします。SWでフルショットして、バックスピンで戻して寄せるのか。それともAWで軽めに打って、手前から少しランを使うのかとか。
GD ボールをどう止めるかまで、明確にイメージすることが大事なんですね。
桑原 ピンが左なら、ドロー系の球筋、右ならフェード系のほうが寄るイメージが出るなとか。ショットの明確なイメージが描ければ、自然と体が反応してくれます。それに任せて、なるべく余計な細工はしません。
桑原 細工をしようとすると、手先が反応して、余計な動きをし始めます。若いころはそれでも調整できましたが、今はゴルフがややこしくなるだけですから。手は余計なことをせず、体の正面にキープしたまま。ドローやフェードの打ち分けも、インパクト前後の軌道をイメージして、そのスウィング方向を変えるだけです。
【ポイント①】グリップエンドが自分を指す
桑原 クラブが体の正面から外れないようにスウィング。体とクラブの動きが同調すれば、軌道は安定します。グリップエンドが自分を指すイメージです。
【ポイント②】クラブがどう動くかイメージする
桑原 インパクト前後でヘッドが描く、ゆるやかなイントゥインの軌道をイメージします。目標に対してその軌道をどう向けるかで球筋は決まります。
軌道がイメージできれば球筋は決まります
桑原 若いときは難しく考えすぎて、いろいろ細工もしましたけど、シニアになってからは、シンプルに打つようになりました。
手でボールを投げてグリーンをチェックしてみよう
GD 次に、グリーン周りからのアプローチですが、ここでもやはりイメージが大事ですか。
桑原 低く打ち出して転がし寄せるのか。ピッチ&ランがいいのか、それともピンの近くまで高い球でキャリーさせるのか。そのイメージができて始めて、打ち方が決りますからね。
GD どんな寄せ方がベストか。イメージを明確に描けるようになる練習法はありますか?
桑原 ボクはいつもラウンド前の練習グリーンで、まず手でボールをポンポンと投げて、硬さやスピードをチェックします。やってみるとわかりますが、手で投げたほうが、こんな感じなら寄るなというイメージがわきやすいんですよ。
GD たしかに、クラブよりも明確にイメージできますね。
桑原 面白いのは、同じカップに向かって投げるのでも、低く転がすか、高く上げたほうが寄せやすいと感じるのか、人それぞれで個性があるんです。
GD この状況はこの打ち方がセオリーだから、なんて決めつけないほうがいい?
桑原 そんなものに縛られる必要はないんです。自分が気持ちいいと感じるものに、素直に反応してあげればいい。そのほうが寄る確率はアップしますよ。
桑原下からや上から、背中側から投げたりしてもいい。ボールを使って、グリーンで遊んでみる。グリーンの状態がわかるし、自分は何が得意かも見えてきます。
【ポイント①】どれが寄せやすいか試さなないとわからない
桑原 手でボールを投げたり、転がしたりして、その日のグリーンの状態をチェックします。今日の硬さや速さなら、どの寄せ方が最適かもわかってきます。
【ポイント②】上手投げにも種類がある
桑原 下手で転がすだけじゃなく、上手から投げてみたりもします。距離が変われば、頭で考えなくても、投げ方が自然と変わりますよね。
【ポイント③】いろいろな投げ方でどんな転がりかを見る
桑原 いろいろな投げ方でカップに寄せてみるんです。遊び感覚でかまいません。ボールの落ち方、スピードで転がり方がどう変わるのか。手先の感性も磨かれますよ。
パッと構えてさっと打つ
桑原 グリーン上のパッティングも、レギュラー時代とは少し変わりましたね。
GD 具体的にいうと。
桑原 アバウトにラインを読んだら、アドレスした後もあれこれ考えないで、さっとボールを打っていくんです。
桑原 打ち出す方向にボールのラインを合わせるなんてこともしません。きちっとやろうとすればするほど、せっかく持っている感性が鈍ってしまうんです。
桑原 目で見て、足の裏で感じて、決断したらさっと打つ。どんどん感性が磨かれてきて、距離感もバッチリ合うようになります。
【ポイント】いろいろな距離とラインで練習
桑原 カップに対して、いろいろな距離やラインにボールを置き、パッと見た感覚でさっと打つ。これも感性を磨くのに効果的。パットで考えすぎて硬くなる人は、ぜひ試してほしいと思います。パットが楽しくなりますよ!
TEXT/Toshiyuki Funayama PHOTO/Yasuo Masuda
週刊GD2019年10月29日号より
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