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【ドリル】参考になる! しぶこの練習法、全部出し。日々どんな練習を行っているのかを徹底取材

AIG全英女子オープンで日本人42年ぶりとなるメジャー制覇を成し遂げた渋野日向子。そこから、彼女はつねに多くの報道陣に囲まれる日々を送っている。少しかわいそうになるくらい……。しかし、活躍の様子は伝えられても、練習の様子はあまり伝えられていない。そこで今回は、“しぶこ”が日々どんな練習を行っているのか“だけ”を紹介。“しぶこ”の強さの秘密が、ここに集約されています!

【解説】青木 翔コーチ
1983年生まれ福岡県出身。27歳のときにティーチングの道を志し、2012年に自身のアカデミー「ASGA」を設立。初の著書“渋野本”「打ち方は教えない。」好評発売中。

【モデル】渋野日向子
1998年生まれ岡山県出身。今年、全英女子オープンはじめ、国内では3勝を上げ、賞金女王争いを演じている。忘れてはいけないのは、彼女は昨年プロテストに合格したツアールーキーだということ

【基本練習】右手1本打ち

―― 渋野が毎日必ず行うのが、右手一本でアプローチを行う練習。青木は、この練習がすべての基本だと言う。

青木 僕は、手打ちをさせない、体を使ったスウィングを身につけてほしいと思っています。そのためには、腹筋などの大きな筋肉を使うことが大事。手でクラブを操作しようとすると、クラブはどうにでも動かせてしまうので、再現性が低くなってしまいます。腹筋などの大きな筋肉を使うことで、手とクラブ、体を連動させるスウィングを作っていきたいのです。

引退するまで続けろとしぶこにはいっています(青木)

青木 さらにもうひとつ、腹筋を意識しておくことで、インパクトでの伸び上がりが防げます。しぶこの悪いクセは上体が伸びて手元が浮いてしまうこと。だから、この右手一本練習でそのクセが出ないように習慣づけているんです。この練習は、すべての基本。しぶこが引退するまで続けさせますよ(笑)。

【ポイント】腹筋で腕とクラブを連動させて打つ

右手1本で振ることで手の動きを制御し、つねに同じショットが打てるようになる。腹筋を意識すると、腕とクラブ、体が連動して動くようになる。アプローチだけでなく、ショットにもつながってくる練習。

バックスウィングに効果あり

青木 しぶこの場合はダウンに課題があるので右手1本で行いますが、左手1本打ちにも効果があります。バックスウィングで体を使って上げやすくなります。

【練習の工夫】目的は同じでも方法は変える

青木 いくらプロとはいえ、毎日毎日同じ練習ばかりしていては飽きちゃいますよね。だから僕は『腹筋を使って前傾を保つスウィング』というゴールは同じでも、そのゴールに向
かう〝方法〞を変えています。アプローチの仕方を変えれば、飽きずに練習を続けることができるんですよ。

%%【工夫①】%%クロスハンド打ち

【ポイント】上体の突っ込みも修正できる

クロスハンドだと、上体が突っ込むとうまく当たらない。上体を正しい位置にキープし、コンタクトすることを身につけられる.

青木 どの練習も前ページで紹介した腹筋に力を入れ、上体を浮かさないためのもの。バリエーションをつけることで飽きずに取り組むことができるだけでなく、あらゆるいい効果が期待できます。

【バンカー練習】バンカーからもアプローチ

―― 渋野の必須練習である、右手片手打ち。それをバンカーから行っているのを目にした。

青木 日本女子オープンの週から始めました。フェアウェイからだと、多少ダフってもミスになりませんが、バンカーでは入射角がすごくシビアになります。少しでも深く入ったら即ミス。フェアウェイからは再現性が高くなってきたので、レベルアップした練習です。

正しい打ち方ができて初めてバンカーにいける

青木 しぶこは少し深く入るクセがあるので、より集中力を高めて練習に取り組めるようになってきています。片手だけだと難しいので、バンカー内から普通のアプローチもやらせています。

渋野は深く入るクセがある

青木 しぶこは普通のアプローチで少し深く入るクセがあります。緊張した場面などでそれが出ると、距離感が合わなくなってしまう。練習でできないことは試合ではできませんからね。

【体と腕の同調養成ギブス】練習法は尽きません

―― 渋野の練習を見ていると飽きない。それは次から次へと新しい練習が行われるから。

青木 ひとつのことをやり続けられる才能が彼女にはある。それに加えて、ものすごく素直。だから、こっちが提案する練習法をまずは一度受け入れてくれる。これも大きな才能です。

【ポイント】腕と体の同調を養う

青木が言う「前傾をキープして体を使ったスウィング」が強制的に行える。手元が低い位置を通り、前傾がキープされていることがわかる。日本女子オープンで試していた。

地道な練習こそ上達の近道です

―― 渋野はショートパット練習にかける時間がとにかく長い。しかし、ただ普通に打つことはほとんどない。

青木 僕は、パッティングもショットと同様、器用な手先を使わずに腹筋を使ってストロークさせたいんです。もっとも小さな動きで繊細なタッチが求められるのがパッティングですからね。後方の人に左手を握ってもらい、右手だけでストロークする練習もその一環です。体が少しでも動くと手が引っ張られてしまいますから、体の軸をブラさず打てるようになります。

右手一本で腹筋を使ってストローク

青木 右手一本でストロークするのもそうです。大きな筋肉を使わないとうまくストロークできない状態をあえて作り、より腹筋を意識させる練習ですね。こういった短いパット練習は繰り返し行うことがとても大事です。一朝一夕では上手くなりません。継続して行うことで、はじめて成果が出てくるものなんです。

これからも彼女の練習から目が離せない!

PHOTO/Shinji Osawa、Hiroyuki Okazawa、Takanori Miki、Masaaki Nishimoto

週刊GD11月5日号より

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