Myゴルフダイジェスト

【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.122「古傷とのつき合い方」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Yoshikazu Watabe

前回のお話はこちら

今通っている練習場にはジムがあって、本格的な機械(トレーニングマシン)があるしインストラクターもいるんです。

まあ、だいぶ年齢もいってきたし、せっかくジムがあるんやから今年はちょっと体を動かしてみよう思ってしまった。これがいけなかった。

僕は筋トレをやるのが嫌いというか、ある事情もあって、これまでほとんどハードなことはやってこなかったので、今回も可動域を維持する程度のことをやる予定でジムを予約して、年明け1月の3、4、5日にトレーニングをやったんです。


時間は毎日30分で負荷も一番軽い設定で、トレーナーさんから機械の使い方を教えてもらいながら3日間やったんですよ。

そしたら全然しんどくはのうて、これはイケるんちゃうかと思ってしまった。それで4日目に練習場で初打ちを「1000球くらい打ったろ」とやったら、腰に“稲妻”が走り、そこから1週間まったく動けずに過ごしました。

実は、今もコルセットしてやってるんですが、それは痛いからではなく怖いからです。

腰痛は長いこと悩まされている“古傷”で、40代の頃にはこれが原因で8年くらいゴルフができん時期がありました。これまで、腰痛の原因を突き止めるために50軒くらい、それこそ大病院から街の怪しげな治療院まで津々浦々に至るまで行きました。

原因がわかったんは50歳のときで、徳島大学の運動機能外科学の西良浩一教授に「終板炎症」と診断されました。西良先生はスポーツ医学(腰痛)脊椎外科が専門で、多くのオリンピック選手やプロ野球選手の診断と治療を行っているテレビでも有名なお医者さんです。

この終板炎症に関しては、またの機会に詳しく話そう思いますが、簡単に言うと椎間板がなくなって骨の炎症が起こる疾患。だから機械を使った高負荷のトレーニングはもとより、いくら軽量であっても腰を圧迫するようなことはやったらいかんわけで、冒頭で僕がウェイトトレーニングをしない“ある事情”というのは、そういうことなんですわ。

こうして持病の腰痛で始まった2023年やけど、今週15日からはもうPGAシニアツアーの最終予選会。とりあえず、頑張ってきます。

「とにかく、本当の原因を知ることが大事。いいお医者さんに出会うこともです」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2023年3月28日号より