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「いつか恩返しを…」初シードの岸部桃子が故郷いわき市に100万円寄付

プロ10年目にして初シードを獲得した岸部桃子が昨年末、故郷である福島県の、「いわき市スポーツ振興基金」に100万円を寄付した。贈呈式が同日、市役所で行われ、内田市長へ目録と市民に向けたサイン色紙が贈られた。

93年生まれの29歳。12年のプロテスト合格後、レギュラーツアーではなかなか成績が残せなかった岸部だが、21年のQTで前半戦の出場権を手にすると、昨シーズンは何度か優勝争いに絡む活躍を見せ、ベスト10入りが3回。メルセデスランク39位となり自身初のシード権を獲得することになった。

プロ入りから21年までに獲得した賞金は750万円あまりだったが、この活躍により、22年の獲得賞金は3376万5200円と一気にジャンプアップすることになった。

とはいえ「経費が半分」といわれる世界で、決して金銭的な余裕があるわけではないはず。そんななか、なぜ寄付をしたのだろう。

本人に聞くと、「シード権を獲得したら、こうした寄付をしたいと思っていたんです。まずは故郷への恩返しも含め、(寄付先は)いわき市へ決めました」とのこと。

岸部は福島県いわき市出身で、福島県立富岡高校2年のときに東日本大震災で被災。学校が福島第一原発に近かったことから休校を余儀なくされ(現在は閉校)、ゴルフを続けることもままならない時期もあったという。

そして翌12年のプロテストで合格することになるが、その間の苦労は本人にしかわからないだろう。

それでも「子どもの頃から近所の方々にいろいろお世話になっていて、いつか恩返しをしたいと考えていたんです。シード権も取れたことですし、良いタイミングかなと思いました」と岸部。

今年の抱負を聞くと、「昨シーズン優勝に絡みながらも勝ち取れなかった”1位”を、今シーズンこそ取りたい」と続けた。念願の初シードを手にどこまで上がれるか。今シーズンの飛躍にも期待したい。

岸部桃子とコーチの横田英治(PHOTO/Hiroaki Arihara)

週刊ゴルフダイジェスト2023年1月24日号より