【ゴルフ上達】渋野日向子が青木翔コーチに聞いたこと。しぶこと一緒に上手くなる!(後編)

2019年を「謎」と表現した渋野日向子。なぜこんな結果が出たのか? なぜここまで活躍できたのか? 本人さえわからない。しかし、青木翔コーチに取材を進めると渋野が強くなった理由がよくわかる。さらに、渋野と青木コーチのやり取りには、一般ゴルファーにも役立つヒントがたくさん詰まっている。「しぶこと一緒に上手くなろう」後編。

【解説】青木翔
あおきしょう。1983年生まれ福岡県出身。渋野日向子をはじめツアープロやアマチュアを指導。週刊ゴルフダイジェスト「笑顔のレシピ」連載中
前編はこちら↓
初心に帰りたいときの“質問”
「最近、パターの芯に当たらないんです」
── 渋野プロはパットが得意だと思い込んでいましたがたくさん悩みを抱えているんですね。
青木 そりゃそうですよ。たとえプロでも、悩んでいることはみなさんと変わらないんです。この前も「フェースの芯に当たらないんですけど〜」って言ってきました。
── 青木さん、それは言いすぎじゃないですか(笑)
青木 いやいや、ほんとです。でもそんなときは、アドレスをチェックするように伝えています。

「『パターの芯に当たらない』。渋野プロでもこんなところに悩むんです」
── アドレスの何をチェックするのでしょうか。
青木 チェックポイントは細かく分けるとたくさんありますが、一番は右腕とシャフトの関係です。右腕とシャフトが一直線になるように構えるのがもっともいいと僕は考えていて、調子が悪くなると、だいたい変な角度がついてしまっているんです。
── なぜ角度がついてはいけないんですか?
青木 しぶこのパターはしぶこに合わせてライ角を調整しているので、ライ角どおりに構えたら真っすぐになるはず。右前腕とシャフトが一直線になれば、体と同調してストロークでき、再現性が高くなるんですよ

青木コーチ解説
【ポイント①】余計な角度をつけず真っすぐ構える
ライ角どおりに構えられると右前腕とシャフトが一直線になる。すると、体と同調してストロークできるため、手打ちにならない。「アドレスをチェックすれば、ほぼ解決します」


青木コーチ解説
【ポイント②】ボールの置く位置も大切ですよ
自分とボールとの距離も大事。左目からボールを落とし、落ちた場所に構える。「左目の下に置くことで、正しいロフトでヒットしやすくなります」

LPGA台湾選手権にて“質問”「低い球を打つには?」
── ショットで渋野プロから質問はあったんですか?
青木 台湾で強風のなかラウンドしていたときに「低い球が打ちたい」と言ってました。
── 確かに、渋野プロは高い球でピンを狙っているイメージがあります。
青木 そうですね。まずは高さを出すことを一年間やっていました。練習の成果が出たのか、だいぶ高い球は打てるようになりましたね。

── 質問に対してはどんな答えを?
青木 ボール位置だけ右に変えて、あとは変えないように伝えました。

最終戦のリコーカップのときに極端に右に置いて練習を行っていた。真ん中の写真を見るとわかるが、インパクトの手の位置がアドレスとまったく変わっていない
── ボール位置だけで球の高低を打ち分けさせた?
青木 そうです。それに、右に置くことで彼女の悪いクセが矯正できると思いました。
── 悪いクセですか?
青木 調子が悪くなると、どうしても上体に力が入って突っ込んで打ってしまう。極端に右に置けば、突っ込んだ状態では打てません。しっかり胸を右に向けたままクラブを下ろせるように、矯正のためにやらせました。それが結果的に、低い球を打つ練習になっているんですけどね。

青木コーチ解説
【ポイント】ボールを右に置き低く打ち出す
青木は初めに高い球を打つことを覚えさせた。「シャフトを正しく使えないと高い球は打てません。それをまず覚えることで低い球を習得しやすくなるんです」

【本来の目的は上体の突っ込みの矯正】
上体が突っ込むクセがあるという渋野。それを矯正するために、極端に右に置いて打たせたと青木は言う。その結果、胸が右を向いたまま打つ「しぶこらしさ」が戻った。

【冬の課題】球位置だけで高低打ち分ける
青木はこの冬の課題として「同じクラブで高さを打ち分ける」ことを挙げる。同じ150ヤードでも選択肢が増えることで、プレーの幅が広がることにつながる。

未来の“しぶこ”からも質問が止まらない!
青木が教えているのは、もちろん技術だけではない。とくにアカデミーの生徒には、練習態度から日々の生活まで、ゴルファー以前のことを教えることが多い。

結果的に、それがゴルフにつながると確信しているから。そんな彼らに「質問はないか?」と聞いたら、さすがは青木コーチの生徒、みんなが一斉に手を挙げた!

上野愉仁くん(中学3年)
Q、やらなければいけないのはわかっているが続けるのが難しいです。

青木コーチ
A、今、何が大事か、何のためにやっているのかを考えて取り組むこと

上野麟欧くん
(高校2年)
Q、目標を達成するために必要なことはなんですか?

青木コーチ
A、自分を見つめ直して自分の長所と短所を理解すること

阿立三四郎くん
(高校1年)
A、考えすぎてしまうクセがあるんです

青木コーチ
A、できないことまで考えない。考える前にやってみよう!

鷲尾菜花さん
(高校3年)
A、自分の教え子にどんな人間になってほしいですか?

青木コーチ
Q、人に迷惑をかけない人間に育ってもらいたい

阿立百恵さん
(中学1年)
Q、渋野日向子さんみたいになりたいです!

青木コーチ
A、今の5倍、練習しましょう! でも、自分にできることから始めればいい

湯浅 芹さん
(高校1年)
Q、私はどうして練習が楽しくなったのでしょう?

青木コーチ
A、僕はマイナスのことは言わないすべてプラスの言葉をかけてるからかな
最後に…育てたいのは“ゴルファー”ではなく“人間”
青木コーチは手取り足取り教えるタイプではない。どちらかと言えば、言葉は少なく、一見冷たくも見える。「僕が『あれをやれ、これをやれ』と言うのは簡単です。しかし、自ら考えてほしいので、それはしません。

ジュニアたちは「練習はキツイけど、楽しい」と口をそろえる。渋野の練習を見ていてもそう。自ら考え、楽しみながらゴルフをする。「上手くなりたい」と思うのは大いに結構だが、「楽しむ」ことを忘れてはいけない。それはわれわれ大人だってそうだ。青木コーチを取材していると、それをすごく痛感する。
「聞く力を身につけるには、自ら考えて行うことがとても大事。だから僕は、そのヒントを与えているだけなんです。自分自身で答えを見つけ、成長していってほしいと思っています。大げさかもしれませんが、僕が育てたいのは、ゴルファーではなく、一人の人間です」
PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Sinji Osawa、Hiroaki Arihara
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