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【通勤GD】高松志門・奥田靖己の一行レッスンVol.51 「さぁ、諸君。たのしみたまえ」 ゴルフダイジェストWEB

「神戸ゴルフ倶楽部『グルームからの伝言』がすべてを網羅している」。今週の通勤GDは、高松志門プロと奥田靖己プロによる名師弟「一行レッスン」です。その第五十一話。

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

ゴルフ芸人 高松志門
1951年生まれ。橘田規に師事し水平打法から独自の理論を展開。多彩な技から‟ゴルフ芸人”の異名をとる。
志門流一番弟子 奥田靖己
1960年生まれ。絶妙な寄せ技を武器に93年日本オープンで尾崎将司を退け優勝するなどツアー6勝、シニア2勝。

前回のお話し

奥田 今回はグルームさんが日本で最初に造ったゴルフ場、神戸ゴルフ倶楽部に来ました。

高松 オレらはここを“六甲”って呼ばせてもろうてるけど、なぜここに来たかいうたら、六甲ほどうちの流派にピッタリなゴルフ場はないから。

奥田 ほんまですね。ゴルフの原点中の原点がここにある。

高松 うん。最初に回らせてもろうたとき、オレはただただ嬉しかったという印象しかない。よくぞこんなコース作ってくれたと思うたよ。

奥田 僕は最初はただただ面喰いましたけどね。グリーンは小っちゃいし、ちょっと外したらとんでもない熊笹のラフがあるのに、セカンド地点にヤード杭は一切ない。キャディに「残り何ヤード?」って聞いても、木を指差して、「あの木から残り120㍎といわれてます」ですから。「いわれてる」ですよ(笑)。

高松 キャディによっては105㍎やいう子もおるしな。奥が危ない場合は弱めにいうこともあるから。

奥田 あと12番のパー4なんてティーインググラウンドからピンは見えるけど、セカンド地点からは空以外なにも見えへんでしょ。「先生、これなんも見えませんけど」いうたら、「お前、さっき見たやろ」って怒られるし。

高松 だってティーインググラウンドで散々見たんやから、もう分かってるはずや。

奥田 そうなんですわ。そうやって自分の五感をフル稼働せんとここは回れない。それに気ついたら、先生の「婚しかった」いう気持ちがよう分かりました。

高松 ゴルフは向こうが見えないとか、距離がさっぱり分からないと怖い。だから知りたくなる。そこで普通ならキャディがやかましくいうやろ。右にOBがあるとか、バンカー越えるのに何ヤードとか。でも、その「知りたい、でも分からない」という気持ちを味わって回るだけでも素睛らしいこと。

奥田 そのなかで自分がどれだけものが見えるのか。どれだけのゴルフができるかですわね。それで一度回って、次に来たときに「あそこの木の右4㍍がベストやな」ということが分かるかどうか、それもコースから問いかけられる。

高松 そこが六甲の魅力。何度回っても、分からんもんは方向すら分からんから。

奥田 あと、コースだけじゃなくて、倶楽部としての姿勢も素晴らしい。ここはフェローシップ委員会がないそうです。

高松 そんなもんがあること自体が恥ずかしいいうスタンスやからね。

奥田 ここの理事長と競技委員長に聞いたら、「廊下は走ったらいけませんとかね、幼稚園じゃあるまいし、そんなことを決めたり、貼り出したりしたらカッコ悪いでしょ。考えれば分かることなんて、わざわざフェローシップ委員会作って決める必要はないんです」とおっしゃってました。

高松 素晴らしいよね。それでフェローシップ委員会代わりに、この『グルームからの伝言』という小冊子を作ってメンバーに配ってる。この小冊子はほんま素晴らしいから、皆さんもよう読んでほしい。

奥田 これ、うちの方向性とまさに同じやし、ほんまにゴルファーとしてのすべてを網羅してますよね。これを守ったうえでの、最後の言菜も最高。さあ、諸君、存分に楽しみたまえ。

神戸ゴルフ倶楽部

「グルームからの伝言」

言い残し忘れたことがある。諸君、神戸ゴルフ倶楽部にこれはいかん、あれはいかん、そういうべからず集はない。

考えればわかるだろう。分からなければ、聞けばよい。ここはみんなが心置きなく楽しむ大人の遊び場だ。

ここはアップアンドダウンがきつい。クラブを運ぶのはキャディに手伝ってもらえばよろしい。初代キャディの留吉以来、ここのキャディはクラブ運びが専門だ。ここではクラブ10本以内で楽しもう。

それでも4人分を担ぐキャディには大変だ。各自、次のクラブを2、3本持って行こう。留吉たちは楽になる。この心くばり、ゴルフ規則の冒頭に書いてあるではないか。

自分のボールは、自分の分身だ。行方が心配なボールほどよく見ておこう。人のボールの行方もよく見よう。それが仲間同士のエチケットだ。ロストボールほどつまらぬものはない。

わたしたちは留吉たちにいちいち聞いたりなどしなかった。距離や傾斜を読むのも、プレーの内だ。うまく打てたら、自分の手柄。しくじったら、笑って悔しがればいい。ゴルフはやむなくコースを傷つける。だから、ショット跡の始末はゴルファーに欠かせない約束事だ。

ルールの前にエチケットあり。古来、それが、ゴルフというゲームだ。昔、山頂茶屋の婆さんは店前はもちろん、途中の道もいつもきれいにしておった。わたしはきれいが好きだ。きれい好きな人が好きだ。ゴルファーはみんなそうでありたい。

ゴルフは仲良く順番にプレーするゲーム。すぐ打てるように準備していよう。番が来たら速やかに打ち、速やかに人に番をまわそう。プレーのペースも、エチケットの一っだ。しかし、人はさまざまだ。

調子の出ない人も、体力の弱い人もいる。そういう人には「後続をパスさせる」という結構な知恵が、ゴルフにはある。

さあ、諸社、存分に楽しみたまえ。

月刊GDより

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