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【名手の名言】陳清波「いい素振りは、途中で何かにぶつかったような音がする」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は、マスターズに1963年から6年連続で出場。和製ホーガンと称された名手・陳清波の言葉を2つご紹介!

切れ味鋭いダウンブロースウィングで一時代を築いた


いいスウィングの素振りは
途中で何かにぶつかったような音がする

陳清波


陳清波は“音”を大事にする。素振りをしたときの音によって、いいスウィングか悪いスウィングかを見極められるという。

その判断基準が、「途中で何かにぶつかったような音」。単に「ビューン」と一定の音が出ているだけでは、球がつかまらないスライサーのスウィングだという。そうではなく、インパクトのタイミングで何かにぶつかったような風切り音を鳴らすことができれば、きれいなドローボールを打つことができるスウィングだというのだ。

陳はスクエアグリップで、インパクトで手を返して(=ロール)、ドローボールを打つ名手。「何かにぶつかったような音」は、この手首をロールさせる動きと連関しているのだろう。

パーシモンの小さなヘッドから大型ヘッドになり、現代では手首を返す動きは不要という考え方が大勢を占めているが、やはり球をしっかりつかまえて飛ばすには、最低限の自然なフェースターンは必要な動き。

いずれにせよ、スウィングの形だけではなく“音”に耳を澄ませてみることで、新たな上達のヒントがつかめるかもしれない。


ホーガンさんがただ一言
「グッド!」といってくれました。

陳清波


陳清波が「マスターズ・トーナメント」に招待されていた頃の話だ。年号は忘れたというが、ある年のマスターズ練習日にあのベン・ホーガンとラウンドする機会に恵まれたという。寡黙なホーガンは、例によってラウンド中はほとんど喋らなかったそうだ。

あるホールで、ピンが左サイドに切られていた。陳が打った球はグリーンの右サイドからドローしてピンにピタリ。これを見たホーガンは、ただ一言「グッド!」と発した。

稀代のショットメーカー・ホーガンが、和製ホーガンと謳われた陳のドローボールを認めた一瞬であったろう。陳はその一言に深い感銘を受けたという。

というのも、陳がドローボールに憧れを抱いたのは、1956年にイギリスで開催されたカナダカップで、ベン・ホーガンを見てからなのである。

陳は台湾の名門・淡水から日本にやってきて、ダウンブロー打法から繰り出される美しいドローボールで一世を風靡。「陳時代」を築いた。

あのアマ界の貴公子と呼ばれた中部銀次郎も大学受験時の浪人中、面識もない陳に自分のスウィング写真4枚を送り、教えを乞うた。その結果、それまでの右かかとが早く上がる癖を矯正し、ベタ足打法にしてドローボールを体得。日本アマ6回制覇という偉業を成し遂げる要因となっている。

ホーガンから陳、そして中部と、ドローボール継承の歴史をそこに見ることができる。

■陳 清波(1931~)

ちん・せいは。台湾生まれ。名門・淡水で17歳からゴルフを始め、1951年プロ転向。59年の日本オープンで初優勝。翌年は2年連続優勝のスコアだったが、スコア誤記により失格の憂き目に合う。レギュラーツアー12勝、シニアツアー4勝、グランドシニア12勝。海外では63年から6年連続でマスターズ出場ほか、全英オープン2回、ワールドカップ11回出場など数々の戦績を残している。比類なきショットメーカーとして知られ、切れ味鋭いダウンブロー打法は一世を風靡した。

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